地方将棋事情(広島編) 柿本雅之 |
開原氏から夜、突然の電話。なにやら原稿を頼みたいとの様子。困っている素振りがみられたのでよくわからないままOK。そしてここのサイトを見てみる。そうすると篠田、野山、田尻と全国名人ばかり。なにやら敷居が高そうで場違いの感はしたものの、まあいいか、全国名人ばかりではすぐ手詰まりになるであろうし、今後登場する人達も出やすくなるであろうということで始めていきたいと思う。 さて田尻氏のエッセーでも書かれていたが、現在、私は広島在住のため広島県の将棋事情について少しふれてみたいと思う。まず広島と言えば誰もが思い浮かべるのは宮本浩二元アマ名人であろう。私は彼と同じ成和産業(株)に勤めており職団戦に一緒に出場している。この職団戦では、中国職域で現在6連覇中で広島のリコーと陰でののしられながら連覇を重ねている。彼は中国名人を11連覇したので職団戦でもまた同じことをするのかと主催の中国新聞社からの冷たい視線を感じながらの大会となっている(まあこう感じるのは私だけかもしれないが)。私個人としては10連覇したらさっさとこの大会からは身を引かないと引き際がなくなってしまうのではと変な心配をしている。そんな彼であるが一般の個人戦の大会にはここ1年間ぐらいほとんど出場していない。個人戦ではもう目標がなくモチベーションが上がらないとのことだが、倶楽部24ではなぜか指しまくっていて複数IDすべてが2500点を超えたと言って喜んでいる。多分、今泉健司氏の正式公式戦デビューの今年の秋ぐらいからまた個人戦にも復帰するのではと私はみている。 広島県は昔、安芸と備後の国に分かれていたためか今でも安芸(広島地区)と備後(福山地区)での確執がある。ほとんどの大会が広島で行われるが、アマ名人戦と支部名人戦は広島、福山の2名代表となる。これらの大会はどちらに出てもよいため広島地区の者で福山の大会に流れる者が結構いる。私などもそのうちの1人で福山の大会での県代表確率はこれまで約50%。しかし福山の人からはいつも白い目で見られてしまう。なお広島と福山の距離は約100km。朝は新幹線を使わないと間に合わないので往復約8,000円の道のりとなる。しかし来年以降は今泉氏(福山在住)の登場により福山遠征をする人は激減するであろう。 昔からずっと広島地区はレベルが高く、それに比べ福山地区はレベルが低かった。それゆえに福山地区の広島排除の意識が根付いたと思われるが、ここ2年くらいの間に勢力地図は大きく変わろうとしている。その最大の原因は今泉氏が奨励会から福山に戻ったことに起因する。それまでは福山では研究会などなかったが、今では今泉研究会などというものがあり定跡に疎かった福山の人達も大いに感化されているらしい。四間飛車と居飛車穴熊の変化で詰みまで教えるというのだから脅威である。またレーティング大会や順位戦等も岡山の強豪を巻き込んで行われている。この影響で開原氏のアマ名人や吉田拓未君の小学生名人獲得の快挙がなされたのであろう。 一方の広島地区の現況はどうなのであろうか。かつて田尻氏が広島にいた頃はレーティング大会では県代表クラスの者がしのぎを削り、その後は宮本、北村公一氏を中心に奨励会員であった山崎、片上君を交えて研究会のようなものもあった。しかし最近ではそのようなものも消滅し、レーティング大会も中高生の子供ばかり。子供達とは点数が離れすぎているため県代表クラスは参加せず、かつては強豪ひしめいた広島将棋センターも今では強豪がいないため、行っても指す相手がいないという状況である。そしてついに先日行われた広島県の竜王戦では史上初の高校生による決勝戦という事態になってしまった。なおこの高校生2名は4月の支部名人戦団体戦で準優勝したチームの大将と副将でそんなに弱いわけではないが、それにしても!! このように広島地区の地盤沈下と福山地区全体の上昇というのが現在の広島県の状況であり、宮本氏の欠場が続く今なら三段クラスでも恵まれれば十分に県代表になれるレベルである。なお開原氏もアマ名人獲得後は招待が何度かあったにせよ、一度も県代表にすらなっていないのも混戦に拍車がかかっている一因である。しかし今泉氏が登場する今年の秋以降はまた状況が変わってくるのではないだろうか。今泉統一政権ができるのか、それとも宮本、開原両アマ名人が踏ん張り今泉氏と連立政権を作ってかつてのレベルの高い広島県に戻ることができるのか。しかしどちらにしても私の出番は今より確実に減りそうなのが心配ではある。
(次回は北村公一さんにバトンタッチ) |