リレーエッセーその14

鳥取県西部支部

平野琢也



 鳥取県米子に来てから5年が経ちます。会社の転勤で見知らぬ土地に住むことになり、はじめは不安なことが多かったのですが、将棋をやっていたおかげで将棋関係の知り合いができ、土地にだんだんと馴染んでいくことができました。そして現在、私は、鳥取県西部支部道場の2階に住んでいます。

 神奈川県から米子に来たのは、96年の4月下旬頃です。前任者の畑中謙吾君の家に通って10切れを指しまくり、将棋の力が付きはじめていたころでした。そんなおり、米子に移動になり、将棋を指すところがあるのか不安でした。米子で最初に大会に出たのは、アマ竜王戦の予選でした。そのときに、大会の参加人数の多さに驚きました。参加者が全員で130人くらいいて、そのうち子供が30人くらいだったと記憶しています。大会の後、大会を運営している西部支部の方に道場の場所を教えてもらい、道場の場所を知ることになりました。そして、土曜日の午後、はじめて道場に行きました。そのときも、子供が十数人くらいいて、聞くと土曜日の午後は子供教室を開いているとのことでした。時間が経つにつれて子供は帰り、代わりに大人の人数が増え、夜になるころには十数人になりました。県代表クラスの強い人も数人いることがわかり、将棋を指す環境に対する不安がなくなりました。道場に通ったり、大会に参加したりするうちに米子は、かなり将棋が盛んなところだということがわかりました。

 ここで、米子で開かれる大会のことを紹介します。まず、冬に高木杯=海の幸=争奪将棋大会が開かれます。大会名の通り、上位入賞者は松葉カニ等、海の幸を一杯もらえます。今年の優勝賞品は隠岐島ブリ1本、松葉カニ2枚、エビ1ケース、焼きハタハタとなっており、3位まで、松葉カニをもらえます。3人1組の団体戦と個人戦があり、A,、B、Cの3階級、どのクラスにおいても、賞品は平等にもらえます。毎年盛況で、県内外から230〜250人の参加者があります。自分も毎年参加しているのですが、2位が最高で、まだブリを獲得できていません。今年は、2月10日に開催されます。

 夏には米子将棋祭りが開催されます。S、A、B、Cと4階級の個人戦が行われ、S級が目玉の10万円大会となっています。賞金は、本選優勝者、準優勝者、1回戦敗者復活戦優勝者の3人に与えられ、それぞれ10万、5万、2万円となっています。S級の参加者は県内外の有名どころがぞろぞろおり、とてもこわいメンバーばかりです。

 年末は西部名人戦が開催されます。鳥取県西部地区の名人を決めるもので、まず挑戦者決定大会を行い、挑戦者になった者が三番勝負で名人に挑戦します。新日本海新聞社が主催しており、名人になると新聞に大きく掲載されることもあって、鳥取県西部地区の多くの人が獲得したがっています(新日本海新聞は、県内購買率が80%くらいあり、鳥取県では全国紙に掲載されるより新日本海新聞に掲載される方が反響が大きい)。自分は、一昨年挑戦者になり、当時の山内宏悦名人に挑戦し、西部名人になりました。そのときは、いろいろな方々から賞賛され、かなり気分がよく、ずっと防衛し続けようと思いましたが、昨年池本健氏に1勝2敗で敗れ、防衛できませんでした。名人戦と同時に市民将棋大会も開かれ、三番勝負第1局を題材にした次の一手名人戦も行われています。また、大会前には西部将棋界に貢献した人に対して表彰がされます。

 これは大会ではないのですが、4月から6月にかけて、地元の中海テレビ(ケーブルテレビ)が放映している、公民館対抗戦があります。中海テレビ放映圏内の地区の人達が公民館単位の3人1組のチームを組み、トーナメント形式で団体戦を戦い、その様子が全局テレビで放映されます。テレビ放映用ということで持ち時間が短いことがあり、成った竜をまた飛車に成りかえって反則負け等、いろいろなハプニングがあります。特筆すべきは、このテレビ放送の時計係、聞き手、解説をアマチュアが行っているということです。理路整然と解説する者と、辛口トークで解説する者、主にこの2人がわかりやすい解説を行っており、かなり素晴らしい出来栄えの番組となっています。以上4つが米子特有のものです。

 他に、新春将棋大会(支部名人戦県予選)、山陰名人戦地区予戦、山陰名人戦本選(隔年)、竜王戦県予選、レーティング山陰大会、中国名人戦県予選(隔年)、アマ王将戦山陰予選があります。各大会とも、同時に一般大会と子供大会が行われており、参加者は80〜130人くらいです。早く負けてしまった人のために参加費無料の慰安戦もあり、成績上位者には賞品がでています。大会の進行は、A級は全局チェスクロック使用、B、C級は進行具合により途中から秒読みという形式で、トラブルなく、ほとんどの大会が予定時間内で終了しています。米子の大会に出て素晴らしいと思ったことに、大会運営の上手さがあります。米子以外の大会に出ることもありますが、自分が出たなかでは米子の大会の運営が一番です。自分はたまに手伝いをする程度で運営に関わっていないので外から見た印象ですが、運営が上手くいっている理由を自分なりに観察してみますと、進行係が大きくよく聞こえる声で的確な指示を出していること、手伝いの人が迅速に動いていること、手伝う人が多い(皆が手伝うというよい雰囲気を作りだしている)ことがあると思います。

 大会後には、毎回道場で慰労会が開かれています。自分は、米子に来た年に大会で準優勝した際に声をかけて頂いて、慰労会に参加しはじめてから西部支部の方々と親しくなっていき、同時に米子になじんでいけました。そして、2年前の9月に道場を移転することになり、道場の2階に住むこととなりました。現在の道場は、米子の温泉地、皆生(かいけ)温泉のすぐ近くにあります。もし、米子に来られることがありましたら、道場に寄っていただけたら、ありがたく思います。道場は水、木、土の週3日開場しております。

 西部支部道場連絡先
 
鳥取県米子市皆生温泉2丁目11−2
 TELとFAX 0859−34−5601


 
(次回は山下宏さんにバトンタッチ)