リレーエッセーその16

第9回社会人リーグを振り返って

広瀬正幸


H:はじめまして。一人では心許ないので早速K君にも手伝ってもらいましょう。
K:しょうがないなぁ。で、書くネタあるんでしたっけ?
H:うっ、痛い所を。個人参加の一般大会は特筆することはないです。
K:やっぱり。
H:団体戦の中で社会人リーグ(注1)について書きたいと思います。僕にとって職団戦と並ぶ、団体戦の主要イベントになっています。
K:ミラクル東工大チームについてのことですか。
H:そう、平成10年に行われた第9回の社会人リーグでどうかな。
K:3年も前じゃないっすか。古くないっすか?
H:いいの。4部とはいえリーグ戦終盤での緊張感ある昇級争いが印象的だったからね。
K:確かにあれは熾烈でしたね。あの年は3部から降級した直後でミラクル東工大は4部青リーグに居ましたね。
H:ミラクル東工大を簡単に紹介すると、その名の通りの大学OBチームの2軍です。
K:その名の通りって、手抜きな説明じゃないですか。
H:ミラクルって何でつけられたかよく質問されるけど、由来は知らないんだよね。個人的にはとっても気に入っているチーム名です。
K:そろそろ大会を振り返ってみますか。1日目はまさにミラクルな結果でしたね。
H:そう。今年はどうなるかと思って対局していたら、あれよあれよと言う間に4−3勝ちを4つ続けての4連勝でした。
K:理想的な勝ち方ですけど、ついてました。
H:1、2試合目の相手の北千住猛爆隊ひよこ、新宿特殊部隊戦は結果的に5位以内だったし。
K:3試合目以降は6人で戦いましたからね。
H:この日の結果で、昇級争いの目標が見えてきました。
K:2日目ですけど、運営委員の吉崎康雄さんを副将にして、安定してきました。
H:K君も3連勝じゃない。3日目の調子よかったみたいだし。どうしたの?
K:普通ですって。吉崎さん、幹事の山崎泰史さん、Hさんと4連勝にはかないませんけど。
H:たまたまだよ。とにかくこの日は皆絶好調だったね。
K:しかし8連勝も有り得んです。
H:ところで、3試合目の明治SAKIURA戦で4将の小網武史君が当たったのって、あの北尾まどかさん?
K:隣にいて気づかなかったんですか、まったく。
H:よく覚えてないなぁ。戻って、反動は3日目になって出てきました。
K:3日目の2試合目は緊張感漂う全勝の常笑会との全勝対決となりました。
H:勝てば暫定1位だけど、負けると昇級争いが厳しくなるからね。
K:見物の方の視線も熱かったような。結果は3−4負けで、ついに土がつきました。
H:上位陣が強く、吉崎さん、山崎さんが抜かれました。
K:2本柱が敗れては負けも致し方なしですか。
H:そうだね。ちなみに、常笑会は道場系のチームらしい。結局青リーグ優勝だしね。
K:敗戦後は重苦しい雰囲気でしたけど、続く昇級候補との対戦は持ちこたえました。
H:ここも大きかったね。それにK君この日も3連勝だったしね。
K:いえいえ。これで1敗を保持して暫定2位。入替戦なしでの無条件昇級である2位は目前です。
H:チーム傾向として入替戦ではほとんど負けていると言われてたんで、無条件昇級の2位は是が非でも確保したかったんだ。
K:ちなみに次の年も入替戦で負けました。
H:3日目は試合終わってすぐ帰って知らなかったけど、実は2敗で2位自力のところがあったんだよね。
K:ハマ公望ですね。
H:そう横浜で横山公望さんがその名もハマ公望という道場(http://homepage2.nifty.com/okachimachishougi/hamakoubou.htm)をやっているんだけど、常連さんが集まった今回社会人リーグ初参加のチームです。
K:1、2日目で2敗してましたが、3日目は4試合目に常笑会も破って4連勝で2敗を堅持してきました。
H:どうも最初は4部のレベルが分からなかったことも多少あって、日を追う毎に徐々にメンバーを整えてきたようです。
K:そのハマ公望と4日目の2試合目にあたるわけですけど。
H:4日目迎えた時点で勝点はミラクルが1つ上なんだけど、勝数はハマ公望が10勝ほど上で、勝点が並んだ時点で順位が逆転する状況でした。
K:うちは4−3が多くて勝数が伸びてませんでしたから。
H:勝数が少ないのも伝統だね。
K:で、要は直接対決で勝った方が2位に大きく前進するわけですね。
H:そう。2位昇級が目の前なだけに、直接対決の時は常笑会戦以上に震えたね。
K:相手が強いと分かっていると尚更、震えます。
H:あと、4日目の1試合目の時に顔ぶれをチェックしていてびっくりしたよ。
K:ミスターX氏(ハマ公望道場ではこの名で書かれていた)が大将で出ていたからですね。
H:そう。ただでさえ、厳しいと思っていたところだったからね。
K:オーダーですけど、多少組替えましたね。
H:ミスターX氏対策もあったと思うけど、結局オーダーは3将にミスターX氏が来て山崎さんと当たりました。
K:ハマ公望もオーダーいじってきた訳ですね。
H:上位の戦いはよく覚えているのでここからちょっと詳しく書いておきます。まず1番最初に終わったのが3将戦。
K:相振りで山崎さんが攻め、ミスターX氏が受ける展開でした。
H:で、山崎さんが攻め切って望外の勝ち。
K:周囲へも一瞬衝撃が走ってました。
H:ミスターX氏も実戦不足で実戦感覚が鈍ってたんでしょうか?ともかく大きな1勝でした。
K:Hさんは4将でしたね。
H:松本勝美氏と。後手三間対銀冠だったけど、図1の局面で2枚替えに構わず△4七歩成としたのを覚えている。最後はこのと金が働いて、勝ったよ。

K:図1以下は△4七歩成▲5五角引△同金▲同角△5二飛▲5六歩△5五飛▲同歩△5七と▲4一飛△5一歩ですか。本当に合ってるんですか?
H:どうなんだろう。当時はこれしかないと思ってたけど。
K:銀が遊んでいるのでその貯金で逃げ切れたとしておきましょう。
H:副将の吉崎vs長谷敏之氏戦は、終盤吉崎玉に一見必死問題に出てくるような必死形の局面まで追い込まれて危なかった。
K:しかしぴったり王手で角を利かす手があって、凌ぎ切り勝ってました。
H:右側の下位は途中見てたときから苦しい状況だったのだけど。
K:そう、5〜7将はハマ公望の下位陣が厚く、全部ハマ公望勝ちでした。
H:誰かは勝ってくれないととは思ってたけど...。これで3−3。
K:最後に残ったのが大将の高橋史生vs芳賀照男氏戦となりました。
H:千両役者の高橋さん、いよいよ登場です。
K:相穴熊でしたっけ?秒読みで二、三転、何度も逆転してました。
H:ギャラリーも相当いたね。途中から見ていられなくなって、投了のあたりは見逃しましたよ。
K:最後は若さと体格で押し切ったようです。
H:勝負所で頼りになるねぇ。
K:勝ったからそう言う。
H:・・・・・・。戻って、上4つを抜いての4−3勝ち。
K:これも有り得んでしょう。
H:確かに。
K:これで1敗保持して2敗が消えたため、2位確定し、昇級が決まりました。
H:いやー、緊張感あるなかで結果が出て本当嬉しかったね。
K:そういやHさん、どさくさに紛れて個人賞を当確させてましたね。
H:そう、実は最終戦は全勝をかけての対戦でした。
K:安心してください。最終戦は大将にしておきましたから。今まで下位で星を稼いでましたからね。
H:もう、そんなことするんだから・・・・・・。オーダー交換でびっくりだったよ。
K:神奈川県教職員チームの大将生駒氏も個人賞当確の13戦全勝でした。思惑通りでした。
H:よく覚えてないけど、昇級の余勢を駆って勝てました。この大会は本当についてました。  
K:立石流ですか、相変わらず駒組みはいい加減でしたけどね。
H:いいの、捌ければ勝ちだから。おそらく最初にして最後の全勝でしょう。
K:この大会でこれが一番有り得んことでした。
H:昇級争いをしてたから、いい緊張感を保てたんだろうね。
K:結局、これが書きたかったんでしょう。
H:ちょっとだけね。繰り返しになるけど、昇級争いが熾烈だっただけに2位昇級は本当嬉しかったよ。
K:1軍も同じく昇級決めてましたね。
H:そう、その後の祝勝会は1軍と合わせて盛況でした。
K:その後は祝勝会はとんとご無沙汰です。
H:残念会だけだもんね。
K:翌年は主力が抜けたのもあって降級で、一昨年はリーグ再編時の10位での昇級。昨年は惜しいところまでいったものの、昇級には届かずでした。
H:ちなみに、常笑会、ハマ公望とも、1部まで登りつめたんだよね。
K:明暗が別れましたね。というかこれが実力ですか。
H:1年間通して成績だせれば十分だけど、2年以上連続で成績が残せるチームは本物だろうね。
K:今年の大会ももうそろそろですし、今年こそ頑張りましょう。
H:最後になりますが、あっK君の紹介を忘れてた。次期の幹事さんとして紹介しておきます。
K:そうだと思ってました。Hさんこの借りは大きいですよ。
H:後が怖いなぁ。では、拙文に付き合いいただきどうも有難うございました。


(注1)
社会人リーグは、東京アマチュア将棋連盟(http://homepage2.nifty.com/toushouren/)主催の7人制の社会人将棋団体リーグ戦の略称。


 
(次回は島達郎さんにバトンタッチ)