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私の町に将棋道場があります。古い小さな一軒家。毎週土日の夜が将棋クラブの活動日。そこでは色々な職業の人々が集まってくる。ここでの将棋が唯一の楽しみの場と言う人もいる。駒を並べていざ対局。つい熱が入りすぎて深夜まで指し続けてあわてて家路に急ぐことも良くある風景。優しい人たちばかりの集まりですがいざ将棋となると、練習将棋といえどもチェスクロックを使用して決して手加減しない。
さて、最近、緊迫した秒読みの最中、時々「ワン、ワン…」。
この犬、主人が仕事の都合で道場の持ち主に預けたという哀れな境遇。種類はわからないが良い犬らしい。ただし成犬で可愛いと言うには少々大きすぎる。クラブのみんなは週一度しか集まらず、名前もわからないまま、「おい、犬」でも困るし、そこで名前を付けてやることにしました。将棋にちなんで「金、銀、馬……」。どうも変です。私が、「竜(りゅう)」では?と言うと、まあ、それでもいいか。
しかし犬にとってはきっと迷惑な話。後日、「チビ」と、判明。大きな「チビ」。一部の人に歓迎されたが大半は無関心か、どちらかというと嫌われている様子で少し大きいので怖がる人もいる。ほとんどはじゃまになっているといった方がよい。おとなしく(やや無口?)て風采があがらない姿で、しかし人恋しいらしく土曜の夜人が集まると座敷に上がろうとする。もちろん怒られるが全くしらん顔。しかも一週間もかけて壁に犬の通れるほどの穴をあけたりドアをかじったり。おとなしいと思ったが割と活動的だ。
この哀れな「チビ」。この道場で認められるためには、何か、目立つお役に立つことをしなければ。将棋道場の場違いな珍客、いやこちらの方が道場の主人に近い。主役はどちらかの論議はいいとして、チビ君。これからどうするの?
突然犬の話ですみません。将棋に関係あるようなないような話ですがお許しください。
この将棋道場は広島県豊田郡川尻町にあります。広島県のごく目立たない小さな(人口1万人)町ですので全国の皆さんは一度も知ることはないでしょう。これを機会に覚えてください。
さてこの将棋クラブ、小人数ながら私がはじめて顔を出し始めたころは誰もがすごく強くて、勝負に厳しく簡単に勝たせてくれない。私が弱いせいもあってずいぶんいじめられたものです。土曜日しか活動しないので平日はただのボロ屋。しかも土曜の夜だけ怪しげに明かりがついているという、近所の”迷惑屋敷”のはずです。でも中身は(将棋の内容)ずいぶんレベルが高く、有段者も多数居ます。練習将棋も真剣で秒読みの中で指し、局後の検討もかなり深く、つまり一局を大切にしているのです。みんな強くなりたいという思いで、一致しています。
しかし、ここでの生活は、というと、小さな日本間が二部屋、トイレだけしかない、水は出ません。お茶を飲むのにも水、その他みんなで各自持ち込んで誰かが給仕係り。盛り上がりがあるのは年に一、二度(近くの呉市で将棋大会へ参加した後など)で反省会のときです。このときは大会の打ち上げでビールを飲みながら楽しく将棋の名手、奇手、失敗談、を肴に語り合い。
このささやかな道場での活動が全国に紹介できて満足しています。
さて、最初に出てきた「チビ」君ですが。あのあと鎖から放してもらって(誰がそうしたか知りません)、商店街をさまよっています。しかしみんなに愛されて今ではかなり太った様子。根がおとなしいのが幸いして何とか生きています。ただ深夜商店街の軒先でさびしく伏せているのが、かわいそうでした。
ご意見感想がいただけるとうれしいのですが。
川尻将棋クラブ 福岡正博
fukuoka5135@mx41.tiki.ne.jp
次の方は、あの上川香織さんです。失礼ながら面識のない方を指名する愚をお許しください。我が川尻将棋クラブと最近お互いの選手を派遣するなどのおつきあいの始まった、下蒲刈の将棋クラブがあります。となり町です。そこの顧問が上川さんだとお聞きしました。そんなプロの棋士さんがうらやましい限りです。よろしくお願いいたします。
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