リレーエッセーその112

海外で将棋を続けるために

菊田裕司



 ドイツフランクフルトに来て半年近くになろうとしている。
 ここでは海外で将棋を続けてこれ以上弱くならないための方法を考え、それを今年の抱負としたい。

 前の渡辺俊雄さんは「燃えかす人間」と表現されていたが、それはあくまでも本人の気持ちの話であって、現在の渡辺さんの実力・実績をみて「燃えかす人間」だと思う人はいないだろう。
 一方、私のほうは気持ちのみならず実力も完全に燃えかすになってしまってから久しいものがある。何せ家で将棋にじっくり取り組む時間がなかったし、仮に時間があっても気力がまったく沸かなかった。
 そのような状況にあっても、いずれ再び一線で活躍することを夢見て、ささやかながら抵抗はしていた。

・大会には可能な限り参加する
・将棋の雑誌・本はなるべく買う。週刊将棋も購読。

 といったものである。もっとも前者はただ出るだけでほとんど結果は伴わなかったし(そのための努力をしていないので当たり前だが)、後者も記事と漫画の流し読みだけで、棋譜を目で追ったり、ましてや並べたりすることは皆無だった。そもそも家にちゃんとそろっている盤駒がなかった。マグネットの駒は何組かあったが子供たちが遊びに使ってだいたいどれも何枚か欠けていた。

 それでも将棋に触れる時間が多少はもてていたのだが、海外に来てそれすらも難しい状況になってしまった。何せ普通に過ごしていたのでは将棋に触れる機会はまったくない。将棋を完全にやめることも考えたが、思い直して海外でも将棋を続けるために前述の抵抗をしばらく続けてみることにした。

 まず大会であるが、ヨーロッパでは結構将棋が盛んでいろいろな国でいろいろな大会があるようだ。こちらに来たばかりの時に将棋パイナップルの 海外のスレッドを見ていたら、おなじドイツ在住の田代秀樹さんがヨーロッパ選手権の模様をレポートしていて、そこに私の名前も出ていたので返信すると、ご丁寧に次の大会の予定をお知らせいただいた(この場をお借りしてお礼申し上げます)。そこで早速German Open Shogi Championshipというものに参加してみた。「海外で将棋を普及する」なんて大それたことは自分にはできそうにもないが、少しでも将棋と触れる時間を持つために、今後もできる限り大会に参加していきたいと思っている。

 つぎに雑誌・本であるが、船便だと数ヶ月遅れにはなるが、それでも日本の本はたいがい日本と同じ値段で手に入るのでなるべく読むようにしたい。新聞も会社で購読しているものがあるので、その将棋欄をじっくり読む。ただし週刊将棋は安く手に入る手段が分からず残念ながら購読していない。

 あと詰将棋もしばらくは見るだけだったので、できるだけ解くようにしたい。といってもなまけものの私はすぐに投げ出してしまうので、なるべく解答を出すようにしたい。そうすれば少しは義務感から少しは続けることが出来るかもしれない。幸いにも詰将棋パラダイスのいくつかのコーナーはメールによる解答も受け付けているので簡単に解答を出すことが出来る。

 その他として衛星放送の「囲碁・将棋ジャーナル」を見る。これは日本では衛星放送に入っていなかったので見られなかったが、こちらでは衛星放送に入っていて見られるので、最新の情報を手に入れるために見たい。雑誌だけだと情報が遅くなってしまうし、インターネットを見れば最新の情報はいくらでも入るものの、すぐにネットサーフィンでどんどん寄り道をしてしまい効率が悪いからである。もっともこちらでは放映は深夜なのでビデオに撮る必要があるのだが、その接続がうまく行かず今のところ果たせていない。

 最後に、インターネット将棋である。日本にいたときにも少しやってみたが、どうも緊張感に欠け、まったくのお遊びであった。しかし、これからは対局の機会がなかなかないので、積極的に活用したい。田尻隆司さんのように地方在住ながらインターネット将棋で鍛えいまだに全国トップとして活躍しておられる方もいるし、こちらドイツでも結構やっている人がいるようだ。

 いろいろ書いたが、自分の性格としてすべて実践できるとは思えないが、ここに書いたことで少しでも自分に鞭打つことが出来ればいいと思っている。



 次はまったく逆な立場で海外から日本に来られた方ということでReijer Grimbergenさんにバトンタッチ。



(次回はReijer Grimbergenさんにバトンタッチ)