リレーエッセーその132

「将棋どうでしょう」

出原卓朗



 えー、はじめまして。出原卓朗と申します。

 「誰だおめぇは?」と思われる方がほとんどだと思いますので、自己紹介をしたいと思います。

 出原卓朗(いではら たくろう)
 宮城県多賀城市出身、現大阪市在住
 東北学院高校→関西大学卒業
 棋歴:20年
 戦歴:高校選手権団体・個人宮城県第3位
 日本将棋連盟関西本部勤務、普及・開発課(兼ホームページ担当)

 ということで僕は「将棋関係者」の部類に入るものです。

 何を書こうかと非常に迷ったのですが、普及・開発課として過ごした8年間の事を書こうと思います。



 普及・開発課に配属された当初、関西本部の普及課というのは、正直デスクワークが多く、どちらかというと決まった仕事をする、ということがほとんどでした。
 どれも大切なお仕事なのですが、他にもいろいろと普及のために必要な方法はあるのではないか。次第にそう思い始めていました。

 そんなある日、関西将棋会館の道場に天野啓吾君(大阪市大OB)と熊野剛君(立命館大OB)が来ていて、ちょこっと話をしていました。
 「東京でやっている『オール学生』みたいな大きな大会を関西でも出来ないかな?」
 と振ってみたところ、二人とも
 「面白い! ぜひやりましょう。知り合いみんな呼びますから」
 と即答してくれました。
 これが初めて書いた企画書になり、半年後、「西日本学生対抗将棋選手権」として始まりました。今は「キリンビバレッジカップ・学生将棋選手権」となっています。

 そこからは従来の普及・開発の仕事に加え、企画書書きの毎日が続きました。

 翌年、サッカーブームに乗って創った「関西本部サッカー部」(対戦相手募集中です。平日に試合が出来そうな将棋部の方、せひ試合しましょう!)で参加したビーチサッカーの大会で、「自由にメンバーを編成して、チーム名を決められる」というところに興味を惹かれ、「クラブカップ将棋対抗戦」が生まれました。
 それから「ペア将棋っておもしろいやん」という声が出たので、昨年からは同大会にペアの部を設けました。

 それに続いて、平田竜樹君(奨励会三段)との中学生時代に出ていた将棋大会の話の流れで、「中学生王将戦」が生まれました。
 またある学校の先生との話の中で、「高校生や大学生は団体戦があるけど、中学生は団体戦がないので、モチベーションが保ちにくいところがある」という意見が出て、昨年から同大会に団体戦が加わりました。

 テレビで「スポーツマンナンバーワン決定戦」を見て「これを将棋でも」と思い「子供将棋フェスタ」が出来たり、広島で3年続けてお仕事でお世話になった故・本多冨治さんや森信雄六段と相談しながら生み出された「村山聖杯将棋怪童戦」が立ち上がったりもしました。

 配属されて今まで書いた企画書は、提出したもの、提出してないものも含めて100本を超えました。



 一つの流れが変ったのは2001年に作った関西将棋会館ホームページです。
 何しろ普及・開発課の仕事をしながら更新業務、コンテンツ制作をするのです。専門知識・技術にも乏しい。最初はかなり苦労しました。
 しかし今では、なかなか大きく取り上げられる機会の少ない関西を中心としたプロアマの情報を大きく伝えられるツールの一つとなり、普及の面でも大きな影響を及ぼすようになりました。その流れで「サンケイスポーツ杯将棋選手権」や「お気楽日記・今日もきままに」などのヒット企画も出来ました。

 昨年夏頃から、ホームページの仕事が忙しくなり、自分でも普及・開発の仕事が少しおろそかになっていると感じ始めていました。
 そんな時、関西の棋士の方といろいろお話をする機会がありました。
 そこで今こそと、2年前の冬に提出した「支部・教室棋士派遣キャンペーン」と表紙にある企画書を、もう一度引き出しの中から取り出しました。

 今、将棋離れが進み、将棋への関心が薄れています。そのためには何をどうすれば良いか。
 それは日本中にある将棋連盟の支部、普及指導員が開講している教室に行き、現場の方と話をして、支部会員の方や生徒さんと将棋を指すことだと感じました。
 そこで支部と本部、ファンと棋士とのネットワークが形成され、それが幹と枝としてより太いものになると思ったのです。
 今年の4月から6月、この企画に賛同していただいた棋士の方と近畿圏を中心に支部・教室を回り、実際に支部の方、指導員の方とお話をして、そのことは間違いないと確信しました。棋士の方も同じ思いだと思います。

 学校の将棋部もまた、厳しい状況を迎えています。そして先日。「学校へ行こう!」という企画が始まりました。キリンビバレッジカップに参加している学校を対象に、棋士(今回はお気楽日記コンビの村田智穂初段と岩根忍1級)を派遣し、同行しました。
 他にも職団戦に参加していただいている職場の方や、一番厳しい状況にあるという将棋道場の方にも、やはり行かなければならないと思っています。

 将棋を楽しんでいる人が、知らずにいろんなつながりの中にいる。
 それは将棋連盟の中にいて、僕自身が将棋普及をしていくためには欠かせないと思っていることです。

 広島の本多さんが亡くなられたお通夜の帰り、雨の広島を歩きながら思いました。

 「将棋ってどうでしょう」。一生そう、問い続けていきたいと。



 みなさんの声を聞きたいです。どんな声でも、メールで結構ですのでこちらへお寄せ下さい。

 次のバトンは、最近、活動の幅を広げている「関西将棋ネットコミュニティー界のジャンヌ・ダルク」こと諏訪景子さんに渡したいと思います。

 僕は最近、ブログを開いたのですが、ヒントは彼女のブログ名つながりです。もし、発見したら書き込んで下さい。



(次回は諏訪景子さんにバトンタッチ)