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リレーエッセーその150 決戦前夜 大庭美夏 |
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3月半ばにこのリレーエッセーのバトンをいただいたとき、せっかくこのタイミングでこの場に書かせていただくのなら、瀬川さんのプロ入り問題について自分の意見をまとめてみたいと考えてお引き受けした。しかしそれは想像以上にむずかしいことで、悶々と2ヶ月以上が過ぎてしまった。現在、女流棋士には棋士総会への出席権がない。当然投票権もないし、意見を提出したり会議を傍聴することもできない。「権利がない=義務もない」と考えればある意味気楽な面もある(実際は権利はないけど義務はある状態だと感じている)。しかしそういう立場だからといって、現状を無視した理想論を書いても仕方がない、と思うと、なかなか筆が進まなかったのだ。 奇遇にも総会当日に対局がつくという巡り合わせに、気持ちを書いてすっきり対局に臨みたい、という思いが大きくなってきた。……とここまで書いて夕食の準備をして急いで食べて、パソコンの前に戻って自分のアンテナをチェックして、「NO PAIN NO GAIN」の「瀬川問題のまとめ」を読んだ。Keyさんのご指摘はもっともすぎる。やっぱり、投票権はないといっても一関係者として、もっと早く意見を発表するなり、具体的な行動をとるべきだった。 今さらどうなるものでもないかもしれないけれど、何もしないよりましだと思うので、自分の考えを書いてみる。お断りしておくが、わたしは現在ほとんど棋士との個人的つきあいはないので、誰の意見も直接聞いてはいないし、情報はほとんどネットでしか得ていない。うわさはなるべく排除して、確からしいと思われる情報に基づいて自分ひとりで考えている意見である。 自分にもし棋士総会での投票権があったら。 以前自分のHPで書いたとおり、わたしは「何らかの基準を設けて新たなプロ入り制度を設けたほうがよい」とは思っているのだが、しかし、瀬川さんの嘆願書にどう対応すべきかについては、正直迷っている。却下は論外だと思うけれど、例えばC2編入とフリークラス入りでどれぐらい経費がかかるか、経済効果はどれぐらい違うのか(試算ぐらいは出せるでしょう)、ファンの意見、スポンサーの意見。そういうさまざまな要素を検討した上で責任を持って考えたい。人ひとりの人生がかかっているのだから、雰囲気とかしがらみとかで安易に決めることはできない。 本当は、アマチュアが参加できる棋戦ごとにスポンサーの意向も聞いて基準を決めて、それをクリアしてもらうのがいちばんいいと思う。しかしどうしても今回決めなければいけないなら、C2編入かフリークラスの2択か。「おとう」さんの提案も一理あると思うので選択肢にあれば候補。企業がスポンサーになって社会人プロ、みたいな方法は、たとえばタイトルホルダークラスに個人スポンサーがつきはじめたら、トーナメントプロの必要人数がかなり少なくなりそうだけど、そのあたりがクリアできるだろうか。試験将棋は、方法や相手選びがむずかしい。 三段リーグ編入にだけは投票しないと思う。棋士にとってはそれでも大改革、大譲歩という感覚はわかるが、せっかく門戸開放するのに「けちくさい」というイメージになってしまう可能性が高く、効果が少なそうでもったいない。 いきなりプロ入りを認めると、現在の奨励会制度と整合性がとれないという意見をよく見るが、今の制度を大事に守っていっても、連盟自体がつぶれてしまったらもっと奨励会員にはかわいそうなことになってしまう。ある程度制度替えの運不運が出るのは仕方がないし、どういう制度になっても勝った者が報われないということはない。それに、別ルートができたとしても、奨励会がトップ棋士を生み出すための優秀なシステムであることにも変わりがない。将棋界全体を発展させることが次の世代のためだというきちんとした意志のもとに決められた制度なら、後輩も納得してくれると思う。 それに、そんなこといわれたら、女流棋士の制度(特に育成会)なんてしょっちゅう上からの通達でいきなり変わるんですけど。最近は役員会がよく動いてくれるので、以前よりは女流棋士の意見も採り入れられるようにはなってきたけれど。しかしそれはまた別の問題なので、またの機会に。 とりとめないが、今思っていることはこんな感じ。あとはこの機会に言いたいこと。ときどき棋士の中で「連盟が○○だから」「理事会が○○だから」みたいな言い方をする人がいる。ファンの人が言うのは自由だけれど、棋士である以上投票権も立候補権もあるのだから、それは言ってはいけない。自分も連盟の一員なのだし、自分たちが理事を選んでいるんだという自覚と責任感を持って欲しい。 それからファンの方々には、見ていて歯がゆいことも多いと思いますが、どうか見捨てないでいただけるとありがたい。たとえ「日本将棋連盟」がなくなっても将棋というゲームがなくなってしまうことはないはずだけれど、当面トップ棋士の戦いを見る機会が減ってしまったり、いいことは少ないと思うので、是々非々で見守ってください。これからの連盟にはどうなってほしいか、どうするべきか、ご意見やご提案のある方は、女流棋士に関することであれば女流棋士会のHP宛にお送りいただければ、必ず目を通して参考にさせていただき、必要があれば関係するところに伝えます。 以上、一女流棋士のひとりごとにおつきあいいただきありがとうございました。これですっきり対局に臨めます。レディースオープン2005の開幕戦、「週刊将棋」もぜひ買って読んでください。 わたしからのバトンは、囲碁将棋チャンネルのインタビュー番組「It's SHOW Time」でお世話になった、ディレクターのMさん(ご希望により匿名)にお渡しします。ご専門は野球をはじめとするスポーツ全般。ちょっと外側から見た将棋界を語っていただければと思います。
(次回はMさんにバトンタッチ)
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